「核力」
カクリョク・カクリキ
構成する漢字
読み方
カクリョク、カクリキ
各漢字の音読みを機械的に組み合わせた候補です。実在する語の正式な読みを保証するものではありません。意味と使い方
核力(かくりょく、英: Nuclear force)は、原子核内の各核子(陽子、中性子)同士を結合している力である。
陽子と中性子はともに核子であり、核力の影響をほぼ同様に受ける。陽子は+1 eの電荷を持つため、陽子どうしを引き離そうとする静電気力が働くが、近距離では引力である核力が静電気力に打ち勝つほど強い。核力は核子を原子核に結合させ留めておく力がある。
核力は、約0.8フェムトメートル(fm、0.8×10−15メートル)の距離では核子間で強力に引き合うが、約2.5fmを超えると急速に減少し、無視できるほど小さくなる。0.7フェムトメートル以下の距離では、核力は核子同士を引き離す斥力となる。この斥力は原子核の大きさの要因となる。核子同士はこの力を超えて近づくことはできないからである。原子の大きさはオングストローム(Å、10−10メートル)の単位であり、フェムトメートルより5桁大きい。しかし核力は単純ではない。核子のスピンに依存し、テンソル成分を持ち、核子の相対運動量に依存する可能性があるからである。
核力は、原子力発電や核兵器に使われるエネルギーを蓄えるために重要な役割を担っている。荷電した陽子同士を電気的な反発力に逆らって結合させるには仕事(エネルギー)が必要である。このエネルギーは、陽子や中性子が核力によって結合して原子核を形成するときに蓄えられる。原子核の質量は、陽子と中性子の個々の質量の合計よりも小さい。この質量の差は質量欠損として知られ、質量とエネルギーの等価性として表すことができる。重い原子核が2つ以上の軽い原子核に分裂するとき、エネルギーが放出される。このエネルギーは、帯電した原子核同士において、核力による結合がなくなるときに解放されるポテンシャルエネルギーである。
核力の定量的な説明は、一部を経験的な方程式に依存している。これらの方程式は核子間のポテンシャルエネルギーをモデル化したものである。一般に、粒子が存在する系内の力は、系のポテンシャルエネルギーで記述されることによってより簡潔にモデル化され、ポテンシャルの負の勾配はベクトルに等しい。方程式の定数は現象論的、つまり方程式側を実験データに合わせることによって決定される。核子間ポテンシャルは、核子と核子の相互作用の特性を記述しようとするものである。定数がいったん決まれば、任意のポテンシャルは例えばシュレーディンガー方程式などで、核子系の量子力学的性質を決定するために用いることができる。
1932年の中性子の発見により、原子核は陽子と中性子から成り、引力によって結合していることが明らかになった。1935年までに、中間子と呼ばれる粒子によって核力が伝達されると考えられるようになった。この理論的発展には、核ポテンシャルの初期の例である湯川ポテンシャルの記述も含まれていた。1947年に、この予言を満たすパイ中間子が実験で発見された。1970年代までに、中間子と核子はクォークとグルーオンから構成されていると見なすクォークモデルが開発された。
この新しいモデルによると、核力は、隣接する核子間での中間子の交換から生じるものである。また核力は多粒子相互作用であり、核子の基礎構造に対する強い相互作用の集合的な効果である。
パイ中間子は核力を媒介するが、パイ中間子は素粒子ではないため、核力は基本相互作用ではない。